まるおの歯が抜けました。
めぐちゃんが、言いました。
「まるお、よかったなぁ！その歯、枕の下に入れとくと、コインになるんやよ！めぐの歯も、10円になったもん」
「へー！！そうなんや！じゃあ、やってみよ！」
まるおは、
小さな歯を
なくさないように
なくさないようにして
大切に持つと
夜、寝室に持っていきました。
「歯、めぐは10円やったんや。まるおは、500円とかは、ならんかな？
1000円は、むりやよな？」
まるおは、欲張りを言いました。
「ん～～。まぁ、5円とか10円とかじゃない？1000円は、札やしなぁ。」
まるこは、急いで言いました。
寝るとき、いつもまるおは
枕を使わないのに、
わざわざ
「枕、今日だけ借りてもいい？」
と言うので、まるこの枕を貸しました。
まるおは、枕の下に、たしかに歯を入れました。
「おやすみ」
「おやすみ」
ふたりが寝ました。
まるこは、ふたりの間から抜け出すと、
急いで、一階へ降りると、
10円を持って
もう一回二階へ上がり、
寝ているまるおの枕の下に10円玉を隠しました。
朝です。
（10円は、たしかに昨日の夜のうちにまるおの枕の下に入れたはず。大丈夫。）
寝ぼけたまま、まるこは、思いました。
まるおが起きました。
「ないわ。。。」
「まるちゃん、おはよう。
コイン、やっぱりないわ。やっぱりむりなんや」
まるおが、寝ぼけながら言いました。
あれから、2週間。
まるおは、
コインのことはすっかり忘れ
まるこもバタバタして10円を探して拾うことも
できていないままです。
あの10円は、いま、どうしているのでしょうか。
まるおに喜ばれるべき10円玉。
まさかの、探して当ててもらえず
いまもそのまま。
もしかして
どこかで、
だれかの歯が抜けて、
10円玉は、もう
旅に出たのかもしれません。
いいえ！
ごめんなさい。
まるこは今週末、きちんと
寝室の掃除をしようと思います。
10円玉に
寂しい思いをさせてしまって
ごめんねと、伝えます。
